硬い足・柔らかい足・アーチについて
足には硬い足の状態・柔らかい足の状態があることを
ご存じですか?
私たちが何気なくおこなっている、歩くという行動は実はとても複雑な動作を
絶妙な力加減によって制御されることで実現できています。
では絶妙な力加減で何を制御しているのか?
結論からいいますと
それが、硬い足と柔らかい足の切り替えになります。
ここから下には、その説明を書いていきますので興味のある方はご一読ください。
難しいことはよくわからないという方は
歩く時に足の硬・柔の切り替えが上手に出来ていると
足の変形やケガが起こりにくいということを覚えていただけると
幸いです。
複雑な部分は、なるべく簡素に記載していきます。
まず
足にある関節として
足首の部分を 下腿と距骨による関節「距腿関節」
距骨と踵骨による関節「距骨下関節」
があります。
その他にも関節は沢山存在しますが、硬い足・柔らかい足について
お話しするには、この二つの関節を知っておいてもらうと大丈夫です。
左の画像は左足を小指側から見た絵になります。
オレンジ色の部分が距腿関節
緑色の部分が距骨下関節になります。
人の歩き方には順番があります。
例として右足から歩き始める場合を記載します。
1.右足を前に振り出す(遊脚初期~中期~終期)
2.右足の踵から地面に接地する(初期接地~荷重応答期)
左足の踵が地面から離れ始める
3.右踵からつま先に向けて荷重が進んでいく、踵が地面から離れて
つま先での地面蹴りだしが始まる(荷重応答期~立脚中期~終期)
左足は前に振り出されていく(前遊脚期)
ざっくり説明するとこのようになります。
このように歩行を1つずつの動作に分類したものを歩行周期といいます。
()の中には歩行周期に割り当てた際の名称を記載しております。
歩行周期の中で最初に硬・柔の切り替えが起こるのが
2.の「踵が接地する」際に起こります。
この時、地面から受ける衝撃を距骨下関節の回内(または回外)によって
足の内側アーチを低下させて吸収しています。
これが、足が柔らかくなった瞬間になります。
同時に膝から下の下腿部分に軽度の内旋(または外旋)が起こることで
受けた衝撃を運動エネルギーに変えて伝達していきます。
次に3.の「つま先に向けて荷重が進んでいく」中で足底軟部組織
(足底筋膜など)の張力が強くなり、まるで鉄橋や石橋のように
トラス機構の梁の役割を果たし、足の内側アーチが低下しすぎないように抵抗しています。
これが、足が硬くなった瞬間です。
この時、足の回内が過度に起こっていると
足の内側アーチの低下が顕著になり、偏平足が見られやすくなります。
さらに、距骨下関節の過度な回内は距骨および脛骨の過度な内旋を生み
膝や股関節にも影響を及ぼしていきます。
足に硬さが出てくると、荷重の移動によって生まれた運動エネルギーが
指先から地面に伝わりやすくなり、歩く推進力を生んでいます。
このように、硬い足・柔らかい足の切り替えによって
時には、足にかかる衝撃の吸収
時には、得たエネルギーを運動に変換
することが出来ています。
しかし、日常生活での立ち方、座り方や靴選び、足の筋力低下が
総合的に作用して
足の内側アーチの低下が著しくなると
前述したような、偏平足や外反母趾の発生要因となったり
逆に常に硬い足でいると
歩行の衝撃を上手に吸収できずに、足底筋膜炎や
膝・股関節の痛み発生の要因となります。